現場百回はシステム屋のことかもしれない

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娘の好きな刑事もののドラマでよく耳にするのが「現場百回」という言葉。
まあ、刑事ものだから現場と言えば犯行現場で、手掛かりや目撃者を見つけるために、100回でも足を運べ、ということなのでしょうが、思えばシステム屋こそ、そうかなと思うことが多々あります。

経理関係のシステムを作るときはお客さんは当たり前のように、「借方がうんたらかんたら、貸方がうんたらかんたら」「売掛金が貸し倒れになったら、5年後は債権放棄というステータスに変えて、その時は・・・」
だれか、この人何言ってるのか通訳してよーって泣きたくなります。

縦割りの激しい会社で人事管理システムを作ったときは、部署ごとにルールが違っていて、ある部署の話ばかり聞いて設計していたら、あとで大どんでん返しを食らったこともありました。

やはりそういう時は、何度も何度もお客さんの事務所に足を運んで、「こういうシステムを作ってくれ」みたいな話を伺うよりは、お客さんが日ごろ何をやっていて、それをどういう風にしたら楽になるかを聞くことが、結果的には手っ取り早いんでしょう。
「でも、これはうちの部署だけなんだけどね(テヘペロ)」ってお客さんの何気ない一言に「それってどういうことですか?」って突っ込みをいれて、後々助かったことはいっぱいあります。

去年ある船宿に予約システムを入れたときも、できるだけ早く安くを目指して、Wordpressのプラグインを使うことにしたのですが、プラグインの機能だけでは予約は取れても、お客さんの業務はあまり楽にはならず、むしろやることが増えてしまった部分もあって、結局はバックヤード機能は自分で作ることにしました。
その時も、やはり電話やメールだけではわからないことが多く、何度も何度も足を運んで、その業務の大変さ、一つうまくいかなければ即クレームに発展するシビアさを身に染みて感じて帰ってきて、プログラムに反映させることができました。

他所の会社のシステムを作ろうと思ったら、その会社の人以上に業務に詳しくならないと、使ってもらえるものは作れませんね。そのためには現場百回。

ところで、先の「5年たったら債権放棄のステータスへ・・・」の会社は5年を待たずして事業がなくなり、一挙に債権を放棄したため、私の作ったプログラムが5年後ちゃんとステータスを変えられたかどうかは、誰も知る由がなかったのです。